限りなくミステリでありえないほどSF 〜『外天楼』( 石黒正数/講談社  KCデラックス)〜

外天楼 (KCデラックス)

外天楼 (KCデラックス)

題名は今はやりのやつを思いっきりパクってみました。



久々にやられた!!、心を持って行かれた!!という本。
オフ会の時に人から譲っていただいて読む。
評判が高いのは知っていたけれど、内容を全然知らずに読んで実に正解だったと思う。


もしこれを読んでいるあなたがミステリもしくはSFを好きだというのなら
ここから先を読まずにとりあえずこの本を読んで欲しい。
以下はネタバレはないけれども
こんな書評を見て、先入観を持って読むよりかは絶対におもしろいと思う。


以下Amazonから簡単なあらすじ。

外天楼と呼ばれる建物にまつわるヘンな人々。エロ本を探す少年がいて、宇宙刑事がいて、ロボットがいて、殺人事件が起こって……? 謎を秘めた姉弟を追い、刑事・桜庭冴子は自分勝手な捜査を開始する。“迷”推理が解き明かすのは、外天楼に隠された驚愕の真実……!? 奇妙にねじれて、愉快に切ない――石黒正数が描く不思議系ミステリ!!

この本の何が良いのか。
まずミステリとしての出来。
あとあと見てみれば連載されていたのはメフィストってそらミステリとしても手が抜けんわって思う。
コメディなのだけど、しっかりミステリしている。
そして随所に挟まれる小ネタ。


個人的なツボは
第四話「面倒な館」
最後の落ちはミステリクラスタは受けること間違いないと思う。



そしてSFとしての設定。
絵柄と序盤のコメディっぷりに油断していると、そこに襲いかかるSF設定の波
そして怒濤の展開。
後半のもっていき方に押されて一気読み間違いなし。



最後に連作という形式をうまく使った作品であるということ。
マンガはその形式上短編の連作になることが多いのだけど、その形式をうまく利用して
一つの物語として昇華させて、物語としての完成度は極めて高いと思う。



最後まで読んで、二度読み 三度読みして
そして一番最初のページをめくってみてあぁそうだったかと納得させられる作品。

良い読書でした。

SF、ミステリ、マンガどれかを愛するのであれば是非とも読んでほしい本。ほんまおすすめ。